第一章‐陰謀の影‐

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      城に戻ってアイルは、夜に字を教えて欲しいと、俺の部屋を訪ねてきた。   少し教えたら、思いの他のみこみが早く、城の書物を片っ端から読みあさり‥ ‥元々頭が良い子だったのだろう。今では、口で大人を負かす程だ。       ヨフの方は、エサルに武術の猛特訓を受けている様で、どうやら‥筋が良いらしい。           『立派な大人になって、私達の大切な、お兄様のお手伝いをしたい。』       二人は、その夢を叶えるためだけに… 頑張っている事を皇子も承知していた。         皇子の役に立ちたくて‥ 子供ながらに、一生懸命に考えての事なのだろう。         俺やエサルは幾度となく、彼等の必死さに救われている。       戸惑いがあっても、止まってなどいられない。       大切な人が居るから…     全力で挑まなければ、亡くすものが大きすぎる。       俺にとっても…… 彼等にとっても…     この…国にとっても…だ。          
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