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グランギニョルは流星に掴みかかってきたかと思うと、彼を上へ投げ飛ばした。
「おいおい。おれがこんなんでやられると思ってんのか?」
「甘い……」
気がつけばグランギニョルは上にいた。そのまま流星の顔面に踵落としをしてきた。
「ぐあっ!目が!目がぁ!」
目を潰された。いや、痛みで開けられないだけだが、少なくともこの取っ組み合いが終わるまで開けられないと思った。
「ぼくの居場所も分からないなら、勝負にならない。君は始めから負けていた」
グランギニョルの攻撃の正体がつかめない。背中に痛みを感じる。
左から音がして、右に避けた。右から拳らしきものが飛んできて、溝内に直撃する。
この時、流星はあることを思い出した。先ほど会った老人は、心の目で見えていると言っていた。
なら、自分も心の目を開いて、グランギニョルを見るしかないと思った。
「どこだ……。どこにいる……!」
心の目。心の目。ただそれだけを考える。
開くは心の目。求めるは勝利。
「残念だね。一発も当てられないまま負けるんだ……」
顔は見えないが恐らく笑っているだろう。だが今の流星には、そんなことはどうでもよかった。
「男ってのは、一撃にすべてをかけてぶつけるもんだぜ?なぁ坊っちゃん」
流星の血潮は燃えたぎっていた。熱く、強く、そして速く。
「なら、僕も全身全霊で行こう」
グランギニョルは両腕を開き、風を切るように走ってきた。勢いよく飛び上がり、宙返りした後、流星に蹴りかかってきた。
「奥義!回走脚!!」
グランギニョルの足が、流星目掛けて飛んでくる。
流星はその脇すれすれをなんとか通り、グランギニョルを避けた。
「なっ……」
「もらった!」
先ほどまで勝ったと確信していたグランギニョルだが、さすがに後ろを取られると怪しくなってくる。なぜなら、彼がどんな攻撃を仕掛けてくるか分からないからだ。
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