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この星は、かつてバーンブレイカーのもたらした災厄で一度滅んでいる。そこで人類は、月にて環境再生の実験として、進化する森を造った。
しかし、進化するが故に森は意思を持ち、この星を支配するようになった。人類は森の許しを得なければ野菜を穫れない生活を余儀なくされた。
ところが、どういうわけか、流星たちのいる東の小さな島国だけは、森は大人しくしてくれていた。人々に野菜も、水も、果物も与えてくれていた。
そんな中、律儀な流星は森に礼をしようと、栄養価の高い土を米俵一俵分持っていった。すると、森が語りかけてきた。
「お前は……何かを愛しているか……?」
流星は突然何を言い出すのかと思ったが、ないこともないのでとりあえず頷いた。
「愛するものを……護れる力があるか?」
そこは頷くことはできなかった。こな世の中、何が起こるか分からない。もし核戦争にでもなれば、間違いなく彼は愛するものを護れない。誰だってそうだ。
「ならば、力を与えよう。愛のために走り、戦う力。神の刄は人の愛。ゴッドスピードラヴの力を」
森の声はそれから聞こえなくなった。だが、自分の中に森が宿ったような気がしていた。
それと共に、自分の未熟さを感じ取った。
足りない。足りないぞ。自分に足りないのは……。
情熱忍耐頭脳感性愛情努力根拠勇気、そして何よりも……。
速さが足りない。
これが、流星の掴み取った世界の真理だった。
そして、彼はそれを見つけるため、とりあえず英雄の剣、レイザーアームがあると言われる教会へ行くことにした。
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