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だが、流星の本能がこいつを助けろと叫んでいた。この神聖な場所で何をやろうとしているのか、分かったものではないが、とにかく助けろと本能が叫んでいた。
流星は無言で子どもの十字架に飛びつき、子どもを引きずり下ろそうとした。
が……。
突然、身体中を何か、熱いものが駆け巡った。熱い。熱い熱い。とにかく熱い。身体が焼け、熔け、無惨に飛び散るほどに熱い。熱くて死んでしまいそうだ。
「おい!何者だ!?」
突然、教会の外からどたどたと誰かが走ってくるのが聞こえた。きっとこの子どもを十字架に架けた奴らだろう。こう言うのはお約束の展開だからよく分かる。
それにしても熱い。熱くて目の前にあるレイザーアームがアイスクリームに見えるほどだ。
あまりに熱いので、思わずそれを手に掴んでしまった。
するとどうだろう。掴んだ場所から、徐々に熱さがなくなり、ちょうどいい体温になってきたような感覚に陥る。
ふと気がつくと、先ほどまで掴んでいたレイザーアームはどこかへなくなっていた。
「貴様、何者だ!」
ちょうどよく、怪しげな人物が八人ほど入ってきた。全員が黒い修道服のような服装で、顔は隠していなかった。なぜか皆、髭も眉毛もなかった。
「あ!生け贄が下ろされているぞ!こいつがやったのか!」
「面倒だな。殺せ!」
黒い修道服のような服装の怪しげな集団は、それぞれが出刃包丁のようなものを抜き、一斉に流星に切りかかってきた。
「未熟だな」
流星はそう呟いた。眼はつり上がり、服は破け、中から輝く汗に覆われた筋肉が露になる。
「戦いの基本は格闘だ!武器に頼ればそれだけ弱くなる」
早口で叫んだ。黒い修道服の集団は彼の威圧感に呆気にとられている。
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