最愛の華

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しばらく彼が黙っていると レンは、そっかぁ…と声を濁らせて 「ルイにも、解らないことってあるんだね?」とニヤリと笑った。 「大きなお世話だ。」 彼が片目を閉じて、そう言うとレンは満面の笑みで振り返り 「ねぇ、ルイ…私に、もしもの事があったら、その時は助けてね?」と言った。 「あぁ、約束する。」彼が微笑んでそう言うと、彼女は踊るようにドンドン先に行ってしまう。 彼は、小さく溜め息をつくと、やれやれと言って後を追いかけた。 -----二人がようやく遊園地に着いた頃には、真昼になっていた。 園内のファーストフード店で 軽く昼食を済ませ ジェットコースターや洋館をモチーフにしたお化け屋敷なんかにも行った。 そうしているうちに日が落ちて空には星が出ていた。 楽しい時間というのは、すぐに去っていった。 彼は、彼女を家まで送り その日はすぐに公園のトンネルの中へ帰った。
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