最愛の華

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「残念だ…ルイ。」 彼はそう言うと手を翳し、ルイに向けると稲妻が男の手から無数に現れ、彼を直撃した。 彼は、ゆっくりと立ち上がるとジベールに向かって飛びかかったが、男はそれを軽々しく蹴り飛ばした。 「吸血鬼としての力を使えぬ貴様など我が輩の敵にあらず…」と、無表情で言う老人は、まるで一国の王にも見えた。 こいつに噛まれ吸血鬼となった自分。 敵を目の前にして無力な自分を責めても答えは出ない。 「身体が血を求めている…なぜ貴様は、それを拒む。」 老人はしゃがみ込むと、まるで我が子でも見るかのように、優しく問いかけた。 「私には、守りたいモノがある。」 彼は真顔でそう言うと、老人はそうかと、立ち上がり背中を見せた。
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