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アレからレンは何度か入退院を繰り返し、会える機会が少なくなった。
両親や、彼女の兄には友人として挨拶を交わし、普通に話せるくらいに慣れてきた。
ある朝、彼女の家に見舞いに行くと
彼女から思い掛けない一言が上がった。
「ねぇ、私遊園地に行きたい。」
彼女の顔は真剣そのものだった。彼は拒否しようとしたが彼女の顔はそれを許さなかった。
「別に構わないが…。」彼がそう濁すと、彼女はにっこりと笑って
「約束よ?」と言って小指を立てた。
ルイは、小さな小指に自分の太い小指を交えて
「約束だ…。」と、牙をチラつかせてニヤリと笑った。
レンは、クスクス笑うとそのまま寝りにおちた。どうやら薬が効いたようだ。
「おやすみ。」
彼はそう言って布団を掛けると霧のように消えた。
まるで、冬の日の夢のように…。
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