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「まぁ細かい事はいい、とにかく俺はお前を人質に取る。手荒な真似はよせよ」
「それなら紐で縛りつけとくなり、何なりするのが定石ではなくて?」
当たり前の事を偉そうに言われ、一発ぶん殴ってやりたい所だったが、まずは言われたように縛りつけれるような物を辺りから探した。
偶然にも側に自転車のゴムチューブみたいな物を見付け、それを使って背中の後ろで両手を組ませ、適当にがんじがらめにして手首を縛り付けた。
「あらあら、これで私も晴れて人質の身なのですね」
なぜか喜々として嬉しそうに笑っているのが気掛かりで、念のために彼女の体の隅々を手で探っていった。
「ボディチェックですか、手を縛り付けてるのに嫌に慎重ですね。それとも単に私の身体を触りたかったのですか?」
「うるさい黙ってろ!!」
「はいはい、そしたら体を起こしてくれませんか。これでは思うように立てませんよ」
何から何までうるさい女だ。このまま置き去りにして、財布だけ持ち帰った方が良かったのかもしれない。
怪しい物が無かった事を確認すると、女の腕を掴んで持ち上げるようにして立たせた。
女は体中を見回して、何とも不満げな顔で口を開いた。
「服に砂が付いてる。払って」
何から何まで癪に触る女と出会ってしまったのだった。
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