神父 (実話より)

5/10
前へ
/40ページ
次へ
 男には、家族がいた。最愛の妻と子供たち。子供の一人は今年生まれたばかりの赤ん坊で、子供たちはまだ幼かったばかりか、妻も病弱で彼がいなければ家族の未来もわからなかった。  男は、必死に命乞いをしたが、ユダヤ人一家がどうなろうとはなからナチスにはどうでもいいことだった。むしろ、男の嘆く有り様に嘲笑さえ見せたかも知れない。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加