人体発火

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新と浩平が、息せいてモニターを見た時には、すでに画面は暗く、何も見る事が出来なかった。 …なんだよっ、切っちまってる… 二人の表情が暗くなったのを、教授は見逃さなかった。 「ハハハ…見たかったか?だが、今日はここまでだ。空気に触れる時間は、少しでも短い方がいいからな。悪いが、機械を片付けてくれ。開けた穴も塞ぐように。これからどのように進めて行くか、宿に戻って協議だ。」 二人は、渋々従った。だが、志摩教授が再び高松塚に立つ事はなかったのである。 …………………… 「ねぇ、ねぇ、どうだった?見た?」 宿に戻った新を迎えたのは、やはりグループ仲間の高石純蓮(すみれ)であった。宿に残り、発掘隊の影の力として資料整理にあたっていたのだ。 「皆、興奮して戻ってきたわ…何見つけたの?」 新の顔を覗き込むように、興味津々の瞳を向けた純蓮だったが、新も浩平も満足出来る答えを持っていない事をすぐに悟った。 「見て…ないんだ…ね?」 「純蓮、顔汚い。」 「…ちょっと!何よその言い方!」 浩平が吹き出した。 「アハハ…!ほんとだ!汚ぇ!アハハ…!」 純蓮は顔を真っ赤にして文句を言った。 「あのねぇ!あんた達のために、化粧もしないで働いてんの!資料に触るより、洗濯物に触る時間のほうが多いのよ!」 純蓮の剣幕に、新も浩平も肩をすくめた。 「あんた達!早くお風呂入って御飯食べて!どうせ朝まで見張りなんでしょ!?」 純蓮は、そう怒鳴って奥へと姿を消した。 「はいはい、わかりましたよ。」 二人は、調査箇所の傍にあるテントで夜を明かすという仕事があった。ファイバースコープを設置していた場所には、古墳の中と外の温度・湿度を一定にするためのドーム型のテントが張られているのだが、二人は、交替でそのドーム内の環境を見張るのだ。勿論、不審者にも目を配らねばならない。 「大発見は見れないのになぁ…俺達みたいなのを貧乏くじ引いたって言うのかなぁ…」 浩平は、愚痴る事しきりであった。 新は、浩平の肩をポンと叩いて言った。 「俺達がいたから大発見出来たんだって…。へこむな、へこむな。」 「お前はポジティブだよなぁ、まったく…」
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