人体発火

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二人がそんな話をしている時、奥の部屋では、今後の作業についての話し合いが進んでいた。 「…やはり、最終的には被葬者の特定に繋がらなければならないでしょう…そこに至るまでには、相当な時間がかかりますが…」 「被葬者の見当は?」 「三人程に絞っています。…ですが…確定出来る程の副葬品が出るかどうか…微妙な所です。」 それぞれが、様々な思いをあの古墳に寄せていた。 被葬者の確定に重きを置く者、副葬品の歴史的価値に注目する者、純粋に古墳の作られた時代に思いをはせ、胸躍らせる者… 「みなさん…あの古墳は、盗掘された痕跡がある事をお忘れなく。」 志摩教授の冷たい言葉が響いた。 …そうだった… 事前調査ではっきりと確認された盗掘の痕跡は、眠っているであろう墓の主人の正体を隠すには十分であろうと思われた。 期待は、半分程に萎んでしまった。 ………………… 「じゃあ行くか、浩平。」 新と浩平は、協議の推移を知る事なく発掘場所へと向かった。 「ヘマするんじゃないよ!」 背中越しに、純蓮がキツイ一言を浴びせた。 「純蓮さぁ、可愛いんだから、少しおしとやかにしてたら彼氏も出来るのになぁ…まったく残念だ。」 「…!?な、何よ…」 純蓮を黙らせる言葉をかけて、二人は笑いながら外へ出た。 「俺、運転するよ。」 浩平は、そう言いながら運転席のドアを開けた。 浩平はとにかく気のいい奴で、新が一番の信頼を置く友人であった。 「じゃあ帰りは俺な。」 二人は、薄暗い田舎道に車を滑らせた。 「…あれ、誰の墓なんだろうな…」と、浩平が呟いた。 「さぁな…でもびっくりしてるだろうな、いきなりカメラ入れられて。…被葬者が特定されるのって稀らしいぞ。」 「わからない可能性、大だな…」 二人はそんな事を話しながら、高松塚のテントにやって来た。 「新!」 浩平が車を降り際、後部席を指さしニヤニヤと笑った。 「何だよ…ん?…スコープ?!まさか、お前!」 「ハハァ!積んできましたぁ!だって見たいだろ?」 「馬鹿か!勝手にそんな事したら怒られるぞ!」 そう言いながら、新もニヤリと笑った。
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