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ここにきてふと疑問に思ったのだが、予定と事情が大幅に違っている。
母が帰宅するのは今日から二日後の予定だった。
今日明日で荷造りをして明後日、母の迎えのもと新居へと移るつもりだったのだが、……どうやら予定は大幅に変更されてしまったらしい。
現に今日いるはずのない母がここにいる。
そういえば転校に関連して引っ越しのはなしがまだだった。
俺には父親はいない。
早くに病死して母はこの小さな身の丈で俺を育ててきた。
ビジュアルに似合わずアクティブというか行動派で、女手ひとつでまともに育った。
未だに疑問なのだが、本当に俺はこの人の腹から生まれてきたのかどうかすら危うい。
実は拾われてきた子供なんじゃないかと未だに疑念している。
「母さん、重いです」
「しつれーね! 久々の再会よ、もっと感動的に演出なさい!」
「ワー、ウレシイナ」
はいはい、なんて軽く受け流しているが実際かなりびっくりしているのが現実だ。
なんせ母と逢うのは軽く一年ぶりだ。
ちょうど一年ほど前、高校受験間近に母は「ちょっと傷心旅行行ってくる!」なんて思い付いて出ていったきりだった。
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