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本当にヤバいと思い始めたのは、それからさらに数時間後のことだ。
休憩時間、1人の部員が、額から血を流した状態で部室に戻ってきたのだ。みんなが駆け寄り、どうしたのかと尋ねると、その部員は『MとSにやられた』と半泣きになって答えた。
当然、M君とS君に覚えはなかった。彼が言うには、2人に部室前の中庭に呼び出され、いきなりM君が額に石を投げつけ、怯んだ部員の財布をS君が奪い盗ったらしい。
S君がポケットを確認すると、確かに身に覚えのない財布が入っていた。
「いや、本当にわかんねえんだって!」
言いながらS君は部員に財布を返した。
無駄だった。
他の部員からは、『調子に乗りすぎなんじゃないか』『どこまでも最低な奴らだ』と、だいぶ非難をあびた。
みんながおかしくなったのか、それとも自分たちがおかしくなったのかはわからない。
しかし、1つだけ心当たりがある。
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