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健がこの肝試しに参加することを知った時は、正直驚いた。健は、子供向けのホラー番組でさえまともに観ることができず、毎回悠太にからかわれていた。
耕介自身も、それは本当に情けないことだと呆れている。それなのに、なぜ今日に限って本格的な肝試しに参加しようと思ったのだろうか。
「お、俺が参加しちゃダメなのかよ!」
「別にダメなんて言ってない。ただ疑問に思っただけだ」
沈黙の末、健はようやく口を開いた。
「…もう悠太に馬鹿にされたくないんだよ…。あいつ女子にまで言いふらすんだぜ?」
「なるほどな。納得」
「おい、さっさと入っちまおうぜ」
正哉が急かす。
トンネルの先は、少しも見えない。
まるで5人を歓迎しているかのように、真っ黒な口をぽっかりと開けていた。中に入ると、5人の足音が反響した。
「うわあ…」
健が、耕介の腕を掴む。
「ちょ、掴むなよ!キメーな!」
「だってよ…先が見えないぜ…」
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