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確かに、思っていたよりも長いトンネルだった。
「心霊写真が撮れたらさ、クラスの奴らに自慢しようぜ!」
弘がカメラを構えて満面の笑みを浮かべた。
「お前本気だな」
悠太が、弘の背中を叩く。 「当然だぜ!」
「霊はいるから」
「マジかよ…」
健が怖じ気づいた。
カメラのフラッシュが、一瞬トンネルの闇を裂いた。 「何も起きないな」
「まあ、当然だろ?」
「起きるよ」
「やめろって!俺、怖いんだから」
「でも、確かに空気は重いな…」
正哉が顔をしかめる。
「そうか?俺は何にも感じないけど」
「まあ、個人差があるだろ」 耕介と弘が互いに頷く。
「あー、懐中電灯持ってくりゃ良かったー」
悠太が気の抜けた声を出す。
「怖いのか?」
「怖いだろ、そりゃ!」
健が怒り狂ったように壁を蹴る。
「宿題終わった?」
耕介が分かりきっている質問を投げ掛けた。
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