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また、別の友人たちとカラオケに行った時、案内された部屋に入った途端気配を感じた。
イスに子供が座っていた。顔が青白く、生気が感じられない。
「悪い、俺帰るわ」
「おい、そりゃないだろ」
「帰る」
あんな部屋で歌えるはずがなかった。
他にも公園の便所の水が勝手に流れたり、女の幽霊が叫び声を上げていたりと、怪奇現象が絶えない。
「…そうだったのか」
「なんか前の『団地』の時以上に、そういうものに出くわす機会が増えたっつか…」
今でも、相変わらず幽霊を視る。町を歩くとどこにでもいる。
どうしようもなかった。
「ホント、ストレスだよ」
「池田…」
「俺、どうしたら…」
橋本は考えた。前は引っ越してしまえば、それでオシマイだった。しかし、今回はそういう問題ではない。池田は、〝中途半端な霊能者〟となってしまったのだ。
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