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「…俺はあの時まで霊なんて信じてなかったし、専門家でもないからうまく言えないけど、やっぱり池田自身が強い意志を持たなきゃダメなんじゃないの?」
「強い意志?」
「ああ。お前、昔から良くないことがあると引きずる癖があるし、ここ最近も疲れてんじゃないか」
確かに、最近は就職したばかりで環境に慣れず、霊以外にも少しストレスを感じていた。
思えば、その時から怪奇現象に遭遇するようになってしまった気がする。
「それともう1つ。お祓いに行け。神社とかにな。『めんどくさがり』なのもお前の悪い癖だ」
池田は苦笑した。
「そうだな」
そう言って橋本を見ると、彼の後ろに血を吐き出している霊が立っていた。
池田は心の中で叫んだ。
『消えろ!』と。
あの時の橋本のように。
霊は徐々に薄くなり、消えていった。
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