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さらに翌日、ゴミを捨てようとしたらブツブツ声が聞こえた。見渡すが誰もいない。さっさと捨てて部屋に戻ろうとしたら、男が壁に向かって、何かを描いていた。
〝逝く〟と、赤い文字。
男は、手首から滴り落ちる自分の血で描いている。明らかに発狂していた。
急ぎ足で部屋に戻った。
「本当に、おかしくなりそうだ…」
池田は身震いした。
「マジかよそれ」
「マジだよ!今朝も駐車場の車の中見たら血だらけの婆さんが笑ってやがるしよ!ホントこえーって…。なあ橋本!信じろって!」
「お前疲れてんじゃねえか。引っ越せよ」
「簡単に言うな!引っ越したばかりなんだぞ!」
橋本は全く信じなかった。しかし、友人があまりにも怯えきっているので、今夜は泊まってやることにした。
「わかったよ」
その夜、橋本は妙な音で目を覚ました。隣の池田は寝不足だったせいか、ぐっすりと眠っていた。
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