団地

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「なんだ…」 携帯を見るが、着信ではない。目の前のテレビでも音楽プレイヤーでもない。 音は、相変わらず続いている。それどころか、どんどん大きくなっていった。 しだいにその音が、誰かのすすり泣きによるものだとわかった。 橋本は身構えた。 部屋の隅に、それは、いた。女だ。髪は長い。もしかしたら、池田が言っていたモノかもしれない。 女は、橋本を見下ろし、   〝あぁ…苦しいよ…〟 と、呻いた。 「…消えてくれ。池田は関係ないし、何もしてやれない」 〝苦しいよ…〟 「消えろ…」 女の泣き声が、笑い声に変わった。 〝一緒に…〟 「消えろ!!」 女は消えた。 橋本は、しばらく呆然と窓を見ていた。 その時、ふと思った。 バスルームへと向かう。 明るくして天井裏を見ると、案の定〝それ〟はあった。
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