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「チキンハートのテメェに言われたかねぇぜ!」
――己の拳でしか自己表現出来ない若者が集う街、スラムZ地区。
そんな街で、俺が『KING』の称号と共に今の地位を手に入れてから二年余りが過ぎようとしていた。
今までも全国各地から腕に覚えのある奴が俺に挑んで来たが、事如く返り討ちにしてやった。
俺が負ける? そんな事は起こり得ない。
親に捨てられ、己の力のみで駆け上がってきたんだ。そう。他の奴らに無いハートを持っている。
覚悟が違うのさ。
「いつか……お前にも解る時が来る。真の強さってぇのが何なのか……」
ふと、先代KINGの言葉が頭をよぎる。
へっ! 負け犬が何言ってやがる。
勝ったのは俺だ。
この世界、力ある者こそが強い。だろ?
そう思っていた……ひとりの女を愛するまでは。
やがて、その女が赤ん坊を孕んで俺に家族が出来た。
「KING……あんたの時代は終わったんだよ。このチキンが!」
俺をぶちのめした若い奴が言う。
守るべき者がいる。
いつまでも命知らずじゃいられない。
そうか……そういう事か。
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