第二章

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タバコが一本灰になるころ、意を決した様に婦人が口を開いた。 『…あの。…あの子を…孫を…助けて下さい!』 『詳しい話していただけますか?』ソファーに座り直しながら婦人に問いかけた。 婦人は目を伏せたまま頷くと、持っていたハンドバックの中から一枚の写真を取り出し、私の前に置いた。 『真ん中に写っているのが私ども娘…孫の母親です。』 何かのパーティーだろうか。 10人程の子供達が笑みを浮かべ写っている。 その中央で淡いピンクのワンピースに身を包んだ少女がケーキを前に微笑んでいる。 『この少女ですね?』指で示しながら夫妻に問いかると、二人は頷く。 『…それで、お孫さんを助けって事ですが、具体的にお願いします。』 今まで俯き黙っていた、成田氏が顔を上げ真っ直ぐ私を見た。 .
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