第一章

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恵夢は雑誌を丸めて手に持ったまま話しの続きを始めた。 どうせ突っ込むなら雑誌じゃなく言葉で突っ込んで欲しいと思いながらも痛みの残る頭をさすりながら話しの続きを聞くことにした。 『お孫さんの真央ちゃんは今5歳なんだけど、ご両親は3年前に事故で二人共亡くなったの…。それから亡くなった真央ちゃんのお母さんのご両親である成田さんが真央ちゃんを引き取ったのね。』 私は冷めたコーヒーを一口啜り、エムに尋ねた。 『その真央ちゃんのお父さん側の祖父さんと祖母さんは?』 恵夢は掌の上で丸めた雑誌を弄びながら私の問いに答えながら話しの続きを始める。 『真央ちゃんのお父さんは身寄りも無くて天涯孤独だったらしいの。だから亡くなった時に葬儀も全て成田さんの家から出したらしいんだよね。』 一人納得した私は軽く頷いた。 『それでね、本題はここからなんだけど。…最近真央ちゃんの様子がおかしいらしいの。何かに怯えて泣き出したり、一カ所ジーっと見詰めていたり。お祖母さんが心配して色々聞いてみても答えないんだって。だけどね、何日か前に亡くなったお母さんの子供頃のアルバム見てるときに、一枚の写真を見詰め続けてボッソと『ユウキ君だ』って言ったんだって。その写真は真央ちゃんのお母さんと何人かの友達が一緒に写ってるものらしんだけど…。今日来る時に持ってきてもらう事になってるから。』 私は返事をする代わりにタバコに火を点けた。 .
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