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奴がボヨンボヨンと体を跳ね上げるたびに地面に積もった埃が宙を舞う。
「さぁレイカさん!踏むなら今ですよ!全神経に張り巡らせた全ての怒りを!今!僕に!!足に思い切り力を込めて!!」
虫を追いかける少年のようなキラキラした目をしている……が、言っていることが犯罪者のそれだ。
「………気持ちが悪い……」
軽い音を立てて指を鳴らせば、誠を縛っていた縄が煙となってかき消える。
「むー……レイカさんのガードは相変わらず固いなぁ……」
そう言って、今度こそガキのように口を尖らせてのそのそと立ち上がる。
「生憎だな、私に変態を虐める趣味はない。苦痛を知らぬ高慢な人間はまた別だがな」
「…いい趣味。俺にも適用して欲しいところですけどね!ほんと、見た目は可愛い女の子なんだけどなぁ…」
確かに今の私の姿は、人間どもにとっては只の小学生の女子にしか見えないだろう。
実際、長身の誠と比べると頭四、五個分程の差がある。
よってどうしても殆どの人間を見上げる形になってしまう。屈辱的なものだ。
「……てかレイカさん、どうしてそんなちっちゃい姿でいるんですか?あ、念のため言っときますけど、俺は幼女に興味はありませんですからね!」
―――一言多いんだよこのドMが……。
「……この姿の方が相手の隙をつきやすい。大人から見て子供はどうしてもナメられる。そこをあえて利用する。利用された人間の表情は格別だな。『自分がまさかこんな小娘に』ってな」
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