5月

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「テメェ神内逃がさねぇぞ、ちょっくらついて来いやァ!」 あぁ、また呼び出されてるよ。 入学してから早ニヶ月。慣れない環境下での授業がやっと終わり、その解放感からか喧騒の絶えない教室。 和やかな空気をぶち壊して侵入してきたのは、髪がツンツン金髪だったりモヒカンだったりドレッドだったりする集団…… つまりはヤンキーの皆さんだった。 明らかに異質で、これで高校生かよと逆にビックリする風貌なんだけど、あろうことか俺達はもう見飽きていた。 また来やがったクラスのほとんどが顔を背ける中、リーダーっぽいドレッドは窓際の席で帰る仕度をしていた彼を名指しした。 彼が顔を上げる。きれいに剃りあげられた坊主頭が、窓から射し込む西日に輝く。 「……どこまで?」 これから降り懸かるであろう災難に気付いているのやら、抑揚の感じられないフツーの声で、彼が聞く。 ある意味呑気ともとれる返答に、ヤンキー達の人相がますます悪くなっていく。火に油を注ぐってのは、こういうことを言うんだろうなぁ。 「校舎裏だァ」 こんなやり取りを、果たして何度聞いたことやら。
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