5月

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うちの校舎はL字構造、そして体育館により三辺を囲まれた空間がある。 生徒玄関とは反対側にあるそのポケットゾーンに直接繋がる通用口はない。どうせなら中庭でも造ればいいのに、と思うのは俺だけじゃないはずだ。 それは置いておいて、だ。玄関に面していないと駐車場にさえも利用されていないこの場所は、指導部の先生も見回りには来ない。 ……つまり言い換えれば、ヤンキーさんの絶好のたまり場になるわけで。 「神内ィ、今日こそテメェのピカピカうるせぇハゲ頭を葬り去ってやんぜェ!」 鉄パイプやら木刀やら、危なっかしい物を各々が持っている。ひぃふぅみぃ……10人か。 これだけの人数に囲まれても、彼は無関心そうな目で見渡すだけ。 「……ハゲじゃない、剃髪です」 「んなモン知るか! お前ら一気に畳んじまえ!」 どこぞ戦隊物の下っ端戦闘員よろしく、ドレッドの手下が気違いじみた叫び声を上げて彼に襲い掛かる。
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