5月

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真っ先に向かってきたモヒカンが振るった鉄パイプは彼の頭を強襲し、しかしすり抜ける。続いてスコップを片手に奇声を上げる金髪の攻撃も手応えなし。 他の取り巻きも加わり、容赦も遠慮もない乱撃が彼に集中する。 俺には全て当たっているようにしか見えないんだが、驚いたことに、彼は避けきっているんだとさ。 「クッ、どうなってやがんだ、何も当たんねぇぞ!?」 そんな感じの困惑した声が引っ切りなしに上がる。 彼に前聞いた話だと、相手の攻撃の予備動作を読み、最小限の移動で回避。あたかも彼の身体が霧に化けたかのように、一切の攻撃が届かない。 『身霧』という、れっきとした護身術の一つらしい。『みきり』によさ気な字を当てただけなんじゃないか……ってのは俺の独り言。 まぁそれはどうでもいいが、この間も彼はヤンキー'sの全撃を見切り、数は沢山いるヤンキーも疲弊し始めた。 もっと頭使えばいいのに、とか思うが同情はしない。考えなしに挑んでくる方が悪いんだ。 「クソがぁ、何で当たんねぇんだよ! 手品でも使ってやがんのかこいつ!?」 最初は威勢がよかった取り巻き連中も段々と苛立ってきたらしく、手数が目に見えて減ってきた。 ようやく、彼のターンが回ってきたようだ。
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