5月

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+ + 神内大貴(カミウチ ダイキ)。 県立高名(タカナ)高校1年D組出席番号13番、身長182㎝体重65㎏、電車通学生。座席は窓際最後尾。得意科目は古典、不振科目は政治経済。 職業は、僧侶。 そんな阿呆な、と誰もが思うだろう……実際、俺も思った。 でも事実らしい。神内大貴は正真正銘、敬虔な宗教家だ。 そのせいか、形のいい頭は奇麗に剃りあげられ、薄く開いた眼はいつも別次元を覗くように虚ろ。 高校生らしからぬ成熟しきった風貌も助長してか、彼には奇妙な噂が絶えない。 『空を飛べる』『腕が自在に伸びる』『霊を召喚できる』『未来を見通せる』『頑張れば瞬間移動できる』『この前ちょっと浮いてるのを見た』『実は幻』『猫に餌をやってた』――最後の一つはよくわからんが、眉唾モンの噂ならいくらでもある。 彼と知り合ってとりあえず一ヶ月が経ったけど、そんな疑惑を裏付けるような超常現象は何一つ起きていない。 話しかければ答えてくれるし、飯も食べるし、授業で間違えることもある。 まぁ、まだまだ浅い、上辺を突っつき合う程度の仲ではあるけど、彼が人外生命体みたいな扱いを受けるような人じゃないのは確かだ。 …………多分ね?
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