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「今なんて…?」
放課後。
夕日の差し込む教室で、俺は言われた言葉が理解できずに聞き返していた。
この教室に居るのは俺ともう一人。
「だから…私は君のことが好きだと言ったんだ…」
彼女は夕日を浴びて艶やかさが増した黒髪のポニーテールを小さく揺らしながら俺に言った。
顔が赤く見えるのは夕日のせいだけじゃないはず。
この学校に入学してからずっと遠くから見ていた。
見る者全てを引き付けるような魅力を持つ彼女は、俺にとって手の届かない存在のはずだった。
それが、今は手を伸ばせば届く所に居る。
「返事を…聞かせてくれないか…?」
ずっと黙っていた俺に彼女は勇気を振り絞るように言った。
俺の答えなんかとっくに決まってる。
もちろん…
「俺も--」
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