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「……いつもよりも10分遅れていますです」
「うぉっ!?」
いきなり背後から聞こえた声に驚き、慌てて振り返ると分厚い本を腕に抱えた小柄な少女が居た。
「なんだ…忍ちゃんか…」
「……なんだとは心外です」
俺の言葉にぶすっとした表情になったのは後輩の柊 忍(ひいらぎ しのぶ)ちゃんだ。
ショートボブの黒髪に、常に眠そうな目、整っている顔立ち、円香よりも慎ましやかな胸、ミステリアスな雰囲気を持つ小柄な美少女だ。
「ごめん。悪かった」
「……謝ったなら許してあげますです」
忍ちゃんは俺の言葉に満足そうに頷くと『書記』と書かれたプレートのある机の椅子に座った。
そこで俺は気付く。
「あっ、刹那先輩が居ない」
俺の視線の先には無人の副会長席があった。
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