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次の日…
二人は何度も電車やバスを乗り継ぎ、山奥の希積村を目指した。
辺りは大きな山と、鬱蒼と茂った森、後は延々と続く一本道だけだった。
「バス停からずっと歩いて来てますけど…タクシー捕まえた方が良かったみたいですねι」
荷物の殆どは涼輔が持って居るのだが、さすがに一時間以上も歩き続ければ、不安や不満だって出て来る。
「バス停付近には何も無かったからね。…乗るなら駅に戻るしかないよ?」
駅まで戻る事を考えると、一歩でも前へ進んだ方が良いと判断したのか、なつめは無言のまま歩き続けた。
更に歩みを進めると、石の側の古木に
【希積村…右に1km】
【吉馬村…左に2km】
と、書かれてあった。
「漸くゴールが見えて来たねι」
「そうですね…あと…Σっ!!」
言いかけて立ち止まり、疼くまったなつめに、涼輔は慌てて駆け寄った。
「大丈夫?どうしたの?」
「っ…大丈夫ですι…ちょっと靴擦れ起こして…」
涼輔はなつめを石に座らせ、靴を脱がせた。
山奥らしいので、歩き易い様にと、スニーカーを履いては来たが、大分前から痛みを我慢していたのだろう。
踵の部分と、白い靴下が赤黒く染まっていた。
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