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涼輔は鞄に入れていた絆創膏を取り出し、傷口へと貼付けた。
「…とりあえず応急処置はしたけど…。これ以上は歩かない方が良いな。」
「大丈夫です!片足だけですし…もうすぐ着くんですから!」
立ち上がろうとするなつめの肩を押さえ、涼輔は思いを巡らせた。
(なつめちゃんは歩かせられないし…背負うにしても、二人分の荷物がある。…しかも夜になったら物騒だし…ι)
いくら考えても、良い案が浮かぶはずは無かった。
何せ山奥なのだ。タクシーが走り回る都会とは違う。
そんな時…
「…おや?北条君!!…なつめさん!!」
エンジン音が響き、一台の車が二人の近くに停まった。
聞き慣れた声に振り返ると、警視庁捜査一課の椎名警部が、姿を現したのである。
『Σ椎名警部!?…どうしてここに?』
「私は脅迫状と言うか、挑戦状が来たので…調査に来たんです。」
「挑戦状は…狐の面…ですか?」
涼輔の言葉に、椎名はハッとして詰め寄った。
「北条君の所にも来たんですか?」
「えぇ…それで向かって居たんですが、なつめちゃんが靴擦れを起こしてしまって…良かったら乗せて貰えませんか?」
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