謎の小包

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小さな郵便物から、この物語は始まった。 都内某所に小さな探偵事務所がある。 外観は至って普通のマンションの2階で、入口のドアには『北条探偵事務所』の文字が、依頼客を今か今かと待ち望んでいた。 「涼輔さん…この前の事件はお疲れ様でした。」 長い髪を一本に結った女性は、珈琲を差し出しながら、目の前の男性に声を掛けた。 彼女の名前は如月なつめ。この探偵事務所の秘書兼助手をやっている。 優しく真面目な彼女は、この事務所に無くてはならない存在でもあった。 「特に何もしてないよ…また椎名警部の株を上げたくらいかな?」 笑いながら珈琲を受け取る男こそ、『探偵事務所所長』である。 男の名前は北条涼輔。 今では警察からの依頼で生計を建てる程、有名な探偵になっていた。 "コンコン" 軽いノック音と共に、宅配便の青年が扉を開けた。 「○○宅配便です。…えっと…北条涼輔さん宛てです。」 なつめは直ぐさま印鑑を伝票に押し、配達員から小包を受け取ると、涼輔の前に差し出した。
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