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配達員が立ち去った後で、涼輔は小包に視線を落とした。
差し出し人の名前は…
『木根 夢津子』
と書いてあった。
「木根…夢津子?…」
涼輔は首を傾げて、記憶の海を探したが、思い当たる名前は無かった。
「贈り主に心当たりが無いんですか?」
「あぁ…全く無いね。…第一、仕事の依頼主なら、なつめちゃんも知ってるだろう?」
「…そうですね。…確かに私にも心当たりは無いお名前です。」
なつめは考え続ける涼輔に、そう言い放つと、ちらりと小包に視線を落とした。
「…なつめちゃんも気になるみたいだね…開けて見よう。」
涼輔は意を決したかの様に、貼付けてあった伝票を外し、ガムテープに手を掛けた。
"ビリビリ…"
小さな段ボールを開けた二人は目を見張った。
「Σ!!!」
「Σキャッ!!」
何故なら段ボールの中には、狐の面が入っていたのである。
いきなり狐の面を見た二人は、唖然としたまま、顔を見合わせた。
「…な…何で狐のお面が?…涼輔さん…本当に心当たり無いんですか?」
「…無いよ。…脅迫か…それとも何かの挑戦状か…。…ん?」
涼輔は狐の面の下にある紙を、机の上へと広げて見た。
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