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『希積村にて【狐の嫁入り】が起こる。』
「…狐の嫁入り?…天気雨の事ですかね?」
「…いや…天気の事でわざわざ面まで送り付けて来るはずはないよ。……【狐の嫁入り】…【狐の面】…希積村で何かが起こるから、来て欲しい…と言ったところかな?」
涼輔は狐の面を手に取り、しげしげと眺めて見た。
だが普通の面と何ら変わりは無かった。
そんな涼輔とは打って変わって、なつめの方はあからさまに顔色を変えていた。
当たり前である。
いきなり狐の面を送り付けられ、さらに手紙に書かれた文章の意味は解らず、挑戦状か脅迫かも不明なのだ。
いくら助手として、幾つもの事件を涼輔と共に片付けたとは言え、なつめは女性なのだから。
「まさか…涼輔さん…その村に…行くつもりですか?」
恐る恐る聞いたなつめに、涼輔はクスッと笑みを零した。
「なつめちゃんは怖いなら今回は止めとく?」
「…!…いっι…いえ!ι行きます!!ι…助手としてついて行くのは…当たり前じゃないですか!!」
なつめは不安を飛ばすかの様に、首を左右に振り続けた。
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