雷鳴

5/7
前へ
/185ページ
次へ
「そんな不謹慎なことを言わないでください」 「そうですよ、実際に人が死んでいるんですから」 「仕方ないだろ、俺だって怖いんだ。軽口の一つでも叩かないとやってられないよ」  男はそう言うと立ち上がった。 「どこかに行くんですか?」 「トイレだよ。それとも付いてくる?」 「冗談じゃ有りません」  その瞬間、激しい雷鳴が轟き、一瞬照明が明滅した。 「雰囲気十分だね」  男は乾いた笑いを浮かべながら、その部屋を後にした。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

598人が本棚に入れています
本棚に追加