1 留実という女①

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「ここは霊界の入り口なんです....ほら...」 マスターが促したほうを見ると...窓ぎわに一人の若い女が腰掛けていた その向こうに小川が光っていた 留実は自分のほかにまだ客がいたことに今気がついた それほど若い女には存在感がなかったのだった 「あの小さい川が、いわゆる“三途の川”です」 「....意外と小さいのね......あの女の人は?」 「今日“亡くなった”方なんですが....まだ元の世界に未練があって....橋を渡れないんです....」 「.....そう」 留実は“幽霊”のような若い女の姿を見つめた まさしく霊なのだ...と留実は思った
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