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それでも、なぜか学校を休もうとは思わなかった。
ここで挫けたら負けだと思ったのか、それとも、まだ心のどこかで次の日になればほとぼりも覚めると期待していたのか……
二年生になってから十日目となる今日も、普段通り千秋と二人で学校に登校する俺。
昇降口で千秋と別れ、自分のクラスの教室に入ると、そこにはやはりいつも通りの光景。
みんな挨拶はもちろん、俺を見るや慌てて目を逸らし、以降は目を合わそうともしない。
毎度のことだが、この反応にはきっと一生慣れることはないと思う。
人間って生き物は、やはりどうしようもなく『孤独』に弱いのだ。
朝のホームルームが始まるまであと五分。
なんとなくぼーっと黒板を眺めていると、右斜め前方、視界の片隅から小さな白い塊が飛んできて、瞼にヒットした。
「…………消しゴム?」
それは小さくちぎられた消しゴムの欠片。
それは明らかに意図的に飛ばされたもの。
なんの嫌がらせかと消しゴムが飛んで来た方向に視線を向けると、再び飛んできた第二撃が、今度は瞼の奥の瞳に直撃した。
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