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「痛ってええぇぇ――――っ!!」
痛い。冗談抜きで痛い。
涙目になりながら消しゴムを飛ばしてきた相手を見ると、そいつはもがき苦しむ俺を指差し、腹を抱えて笑っていた。
「ぶはははっ! 目玉に直撃とか、俺って天才じゃね!?」
「ちょ、ちょっと久世くん!? まずいよ、早く謝った方がいいって!」
その様子を見ていたクラスの女子が消しゴムの男に謝罪を促す。
久世……聞き覚えのない名前だな。まあ、クラスメートの名前なんて半分も覚えてないんだけど。
「あはっ、わりぃわりぃ、大丈夫か?」
久世はにやけた表情のまま立ち上がり、そう言って俺に手を差し出す。
同級生から普通に話しかけられたのは、何日ぶりだろうか……
「お前、俺が怖くないの?」
「ん? あー、去年の暴力事件のこと言ってんの? だってあれ、新山は悪くないじゃん」
姉ちゃん以外の人にかばってもらうのは、それが初めてだった。
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