比泉紫苑の1日

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 あいつの普段の行動やその身体能力、判断力から、何度か考えたことはある。  比泉紫苑は本当のスパイなのではないか……と。  極めつけはこの日記帳もどき。 「……いやいや、まさかただの高校生がスパイだなんてそんな――」 「スパイがどうしたって?」 「どわぁっ!?」  音も立てずに目の前に現れた比泉紫苑。  俺は慌ててノートを背中の後ろに隠す。 「どうした? この程度で驚くなど、新山らしくないな」 「だ、誰だっていきなり人が目の前に現れたら驚くだろっ!?」  実際はノートを勝手に見てしまったことによる動揺が半分以上を締めるのだが、なんとかバレないように取り繕わないと。 「ふむ……まあいいか。それより、新山に頼みがあってきたのだ」 「また悪巧みじゃないだろうな」 「失礼な、それではまるで俺がいつも悪事を働いているようではないか」  その通りじゃないか。
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