比泉紫苑の1日

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「あのネコ、どうやら足を怪我しているようなのだ」  下からではよく見えないが、比泉がそう言うならそうなんだろう。 「ケガをした為木の上から降りられなくなったメスネコの為に、ずっと食べ物を取ってきてやっていたんだろうな。万が一俺が木を登った時の揺れであのネコが落ちてしまった場合、ケガをしている状態ではまず受け身など取れないだろう?」  その話を聞いて、色々と繋がった。  比泉は、あのネコの安全を考えて、あのネコを助ける為に俺に協力を頼んだんだ。 「あの二匹のネコ、助けた後はどうするつもりなんだ?」 「元は飼い猫のようなのでな、新しい飼い主を探す。見つかるまでは俺が責任を持って世話するつもりだ」  俺は、比泉紫苑という人間を少し誤解していたのかもしれない。  なんにせよ、こいつの意外な一面を見れただけでも、協力してやる価値はあるよな。
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