しょーらいのゆめ

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「夏紀ちゃんの家にはたまに寄ることもあるんだけど、大抵は昼時だから会わないね」 「そうですね、去年までは高校に行ってましたから」 「あ、そっか。夏紀ちゃんはもう大学生なんだっけ。アルバイトとかはしてるの?」 「いえ、今はなにも……」  今は、というか未経験なんだけどね。  高校の時は風紀委員の仕事とかでなかなか自由な時間が取れなかったから。 「それならさ、家庭教師のアルバイト、してみる気ない?」 「家庭教師……ですか?」 「そう、夏紀ちゃんが優秀だってことは春香から聞いてるし、夏紀ちゃん面倒見良さそうだから向いてると思うんだけど……どうかな?」  お母さんったら、私のことどんな風に話してるんだろう。 「月宮さんはそういう会社でお仕事を?」 「ううん、違う違う。見てもらいたいのはうちの娘なの。だからこれは私の個人的なお願い。あ、もちろんバイト代は払うよ!」  知り合いの家で家庭教師か……勉強を教えるのは嫌いじゃないし、初めてのアルバイトとしてはやりやすそうに思える。  何より、今は時間がたっぷりあるし……考えてみても、断る理由なんて見つからなかった。
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