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「私ね、お料理だけは何度やっても全然ダメなの。目玉焼きは焦がしちゃうし、煮物はべしゃべしゃになっちゃうし、未だに砂糖と塩を間違えちゃうし……」
「凄く……意外です」
「幻滅しちゃった?」
「そ、そんなことないです!」
「どうして?」
「だって、風見先生は他にも凄いところがたくさんあるもん! ちょっとお料理が苦手ってくらいで幻滅なんてしませんよ!」
「そう、そういうことなんだよ」
「……え?」
「好き嫌い、得意苦手。それってその人の『個性』でしょ? 料理もまともにできない私を柚葉ちゃんが先生と呼んでくれるように、人間ってなにか一つでも自分より勝っているところがあれば簡単に他人を尊敬することができちゃう、単純な生き物なんだよ」
まあ、私の身近にはお料理も勉強もスポーツも完璧な超人もいるわけなんだけど……
「私はお料理ができる柚葉ちゃんを凄いと思ってるし、夢を叶えるために一生懸命なところとか、とっても尊敬するよ」
「ふわぁ……凄く……嬉しいです」
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