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まだ未成熟な中学生男子は、些細なことは気にせず、楽しければそれでよし。といった傾向にあるらしい。
私の腹話術も告白された男の子からクラス中に広まってしまったものの、それは一種の娯楽として受け入れられた。
友達と言えるような存在は出来なかったが、ひどいイジメを受けていた小学校時代よりはずっといい。
その時は、そう思っていた。
――ある日の放課後、掃除をしていた時のことだ。
「あんたさ、ちょっと顔が可愛いからって、男子にちやほやされて調子乗ってんじゃないの?」
一緒に掃除をしていたクラスメートの女の子が、突然そんなことを言ってきた。
男子が自分の周りに集まるのは、腹話術が珍しいから。それ以外に理由はないはずだ。
けれど、女の子たちにはそんなことわかるはずもなく、彼女たちは自分に対してある種の嫉妬を抱いていた。
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