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その後の展開はありきたりなものだった。
小学生とは違う、無抵抗の私を強い力で殴る蹴る。
「黙ってないでなんとか言いなさいよ!」
なにも喋らない私に苛立ちを覚える女生徒達。
痛いと訴えたくても、悲鳴を上げたくても、言葉が出ないのだからどうしようもないではないか。
結局、私は変われないのだろうか。
現状に絶望し、抵抗さえも止めた時、女生徒の一人が、私の鞄をあさっているのが視界に入った。
「ちょっとちょっと、こいつ熊のぬいぐるみなんて持ち歩いてるよ」
「うわ、可愛い子ぶってんの?」
「捨てちゃおーよ」
一人のそんな言葉に、その場にいた全員が賛同する。
嫌だ。あれはりょーくんにもらった大切な……
そう思ったところで、それを言葉にすることは出来ず、私はただ、ぬいぐるみが窓から投げ捨てられるのを見ていることしか出来なかった。
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