まずは一歩踏み出してみる

8/11

325人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
 自分を痛めつけることに飽きた女生徒達が去ってから、私は一人、昇降口まで歩いてきていた。  自分の下駄箱を開けるも、靴が見当たらない。  仕方なく、上履きのまま校舎の裏へと向かう。あの窓から投げ捨てたのなら、そこに落ちているはずだ。  どうせもうあちこち傷だらけで埃だらけ。今更汚れるのを気にするのも馬鹿らしい。  私は地面に膝をついて、茂みをかき分けてぬいぐるみを探す。 「…………優羽ちゃん?」  声をかけられた方に視線を向けると、そこには大きなゴミ袋を抱えたお兄様の幼なじみ、姫百合蓮さんが立っていた。  私も小さい頃によく遊んでもらっていたので面識がある。  そういえば蓮さんも同じ中学生だったんだっけ。  校舎裏の焼却炉にゴミを運ぶ途中だったのかな。 「優羽ちゃん! どうしたの!? いったい誰がこんな……」  元々意識が朦朧としていたのに加え、蓮さんが来てくれたことによる安心感からか、私は駆けつけてくれた蓮さんの腕の中で気を失ってしまいました。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

325人が本棚に入れています
本棚に追加