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次に目を覚ました時に見たのは、お兄様の顔でした。
「気がついたか」
「えっと……ここは?」
「蓮の部屋だよ。優羽が倒れたって連絡もらってな。とりあえず学校から近い蓮の家に上げてもらったんだ」
「そう……ですか」
状況は理解したが、意識がハッキリしない。
なんだか、長い夢を見ていたような気がする。
よく覚えてはいないけど、大きな木があって、そこには優しそうな男の人がいて……
『大丈夫。人は無限も可能性を持っているんだ。もちろん、キミもね』
その言葉だけは、ハッキリと覚えている。
「そうだ、焼却炉の近くに熊のぬいぐるみが落ちてたんだけど、あれ優羽のだよな?」
ぬいぐるみ、お兄様が見つけてくれたんだ。
…………あれ?
ということは、今手元にはぬいぐるみがないはず。だとしたらどうして……さっき私は喋ることが出来たの?
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