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「おにい……さま」
「ん、どうした?」
「ゆうのこえ……きこえ……ますか?」
「ああ、ちゃんと聞こえてるぞ」
ちゃんと伝わってる。
どうして?
「どうして喋れるのかって顔してるな」
「…………」
「俺も今驚いてるところだが、元々は喋れてたんだ。また喋れるようになっても不思議じゃねぇだろ」
それはそうかもしれない。でも、きっと何か理由が――そう思った時、頭に浮かんだのは先ほど見た夢。
大きな木の前にいた男の人は、どこか普通の人間とは違った感じがして……もしかして…………神様、とか。
「あの、おにい……さま」
「ん、なんだ?」
「お兄様は、神様を……信じますか?」
「信じるってゆーか、俺は神様と知り合いだぞ」
さらっととんでもないことを言うお兄様に驚いたが、お兄様はすぐに『冗談だ』と付け足す。
本当に冗談だったのかな。
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