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次の日学校に行くと、続くかと思われたイジメはパッタリと止んでいた。なくなった靴も下駄箱に戻されている。
きっと、お兄様と蓮さんがなにかしてくれたのだろう。
『おはようございます。お兄様』
「おう、おはよう優羽」
廊下ですれ違ったお兄様に、蓮さんが綺麗に繕ってくれたぬいぐるみを抱えて挨拶を交わす。
お兄様以外の人とは、やはりまだ喋ることは出来ず、お兄様が相手でも、周りに人がいる場合は喋れない。
それでも、一歩踏み出すことは出来た。
あの人が言っていたように、自分にもまだ可能性があるなら、いつかまたりょーくんに出会った時恥ずかしくないように、きちんと気持ちを言葉に出来るように、今日から一歩ずつ、地道に頑張っていこうと思う。
END
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