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「それに、なにより可愛いっ! あたしは千秋ちゃんといると元気になれるし、一緒にいて本当に楽しいもん。これって凄いことだよー」
「千秋も鈴ちゃんといると……楽しいよ?」
「んー、じゃあどっちも凄いってことで!」
本当に楽しそうに笑う鈴ちゃんが、とても眩しい。
自分のことを凄い人間だなんて思ったことはないけど、もしそういう風に思ってくれるならそれは、きっと周りにいてくれるみんなのおかげだ。
お母さん、お父さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、鈴ちゃん、百合ちゃん……それに、今はもういないあの人。
「あ、もうこんな時間! あたしそろそろ帰らなきゃ」
そう言って立ち上がる鈴ちゃんを玄関まで見送ってから、呼び止める。
「鈴ちゃん……ありがとね」
「…………?? よくわからないけど……どういたしましてですぅ」
そう言ってから走り去っていく鈴ちゃん。今日も一日が終わろうとしている。
「ただいまー……って、千秋、なんで玄関にいんの?」
入れ違いに学園から帰ってきたお兄ちゃん。
お兄ちゃんの顔を見ると、凄くほっとする。幸せな気持ちになれる。
「おかえりなさい……お兄ちゃん」
結局、今日一日通してなにを伝えたかったのかと言うと――
私、風見千秋はみんなのおかげで今日も幸せです…………ってこと。
END
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