歌姫

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「…そんなの、最初から決まってたから、先生と打ち合わせ済みだよ~!」  一変。飛びっきり明るく声を張り上げる。 「やった~!」  キミカも大喜びだが…ケイトもカナメもさっぱりだ。 「え?え?」  困惑するカナメ。 「それってつまり…」  聞きたく無いが確認はしたい…そんな複雑な心境でケイトは尋ねる。 「そう、ケイちゃんはカナっちにやる気を出させる為の餌なのでぇす!」 「何よそれ…」  頭を抱えそうになるケイト。そして話の展開について行けないカナメ。かくして、桜かほりプロデュース「新一年生歓迎パフォーマンス」は本格的に動き出すこととなった。  その日からのカナメ達がすごかった。  カナメはケイトから舞台に立つ上での基本を叩き込まれ、かほりは根回しと宣伝活動にいそしむ。来年から一年生になるキミカも、「姉自慢」として同じ学校に行く同級生などに宣伝活動。  …どうしてそんな大事にしたんだろう?未だにかほりの考えている事は分からない。  カナメはそう思ったものの、やる気は十分だった為に一生懸命練習したのだった。 「だから、俺と友達に!」  長い回想を終えて、まだ終わらないプロポーズをのんびり待つ女の子。  が、さすがに飽き飽きしてきたので、男の子の話を止める。 「あの…さ」 「は、はい!何ですか!」 「うーんとね…言いづらいんだけど…」 「だ、ダメですか!」 「私、カナメ姉ちゃんの妹だよ?」 「…え?」 「カナメ姉ちゃん~!」  女の子…キミカは、木陰で隠れていたカナメを呼ぶ。 「どう?感想は?」  顔が真っ赤だ。逃げ出さなかっただけ、よく頑張ったと言えるだろう。 「え?…二人?」 「よく似てるって言われるんだよね~、だから普段は…」  キミカは髪を結ぶ。 「こうやってるんだよ?」 「…え?」  男の子は知っていた。「金中の歌姫」の写真ぐらいは見たことがある。 「…で、あなたが告白するはずの『歌姫』は…」  隣を指差すキミカ。男の子の前に出てきてから、まだ一度も喋れていない純情な姉、舞扇カナメだ。 「う…ま、マジっすか」 「マジです」
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