2人が本棚に入れています
本棚に追加
「…そんなの、最初から決まってたから、先生と打ち合わせ済みだよ~!」
一変。飛びっきり明るく声を張り上げる。
「やった~!」
キミカも大喜びだが…ケイトもカナメもさっぱりだ。
「え?え?」
困惑するカナメ。
「それってつまり…」
聞きたく無いが確認はしたい…そんな複雑な心境でケイトは尋ねる。
「そう、ケイちゃんはカナっちにやる気を出させる為の餌なのでぇす!」
「何よそれ…」
頭を抱えそうになるケイト。そして話の展開について行けないカナメ。かくして、桜かほりプロデュース「新一年生歓迎パフォーマンス」は本格的に動き出すこととなった。
その日からのカナメ達がすごかった。
カナメはケイトから舞台に立つ上での基本を叩き込まれ、かほりは根回しと宣伝活動にいそしむ。来年から一年生になるキミカも、「姉自慢」として同じ学校に行く同級生などに宣伝活動。
…どうしてそんな大事にしたんだろう?未だにかほりの考えている事は分からない。
カナメはそう思ったものの、やる気は十分だった為に一生懸命練習したのだった。
「だから、俺と友達に!」
長い回想を終えて、まだ終わらないプロポーズをのんびり待つ女の子。
が、さすがに飽き飽きしてきたので、男の子の話を止める。
「あの…さ」
「は、はい!何ですか!」
「うーんとね…言いづらいんだけど…」
「だ、ダメですか!」
「私、カナメ姉ちゃんの妹だよ?」
「…え?」
「カナメ姉ちゃん~!」
女の子…キミカは、木陰で隠れていたカナメを呼ぶ。
「どう?感想は?」
顔が真っ赤だ。逃げ出さなかっただけ、よく頑張ったと言えるだろう。
「え?…二人?」
「よく似てるって言われるんだよね~、だから普段は…」
キミカは髪を結ぶ。
「こうやってるんだよ?」
「…え?」
男の子は知っていた。「金中の歌姫」の写真ぐらいは見たことがある。
「…で、あなたが告白するはずの『歌姫』は…」
隣を指差すキミカ。男の子の前に出てきてから、まだ一度も喋れていない純情な姉、舞扇カナメだ。
「う…ま、マジっすか」
「マジです」
最初のコメントを投稿しよう!